子供は親の後ろ姿を見て育つ ②

すると父親は、にっこり笑って、早口で「人それぞれの仕事があるのだ。外で見ているほど楽な仕事はしてないよ。みんな生活のためにがんばってるのだ。かっこうのいいことばかりでは、人間はだめなのだ。もっと大人になったらわかるだろう。お父さんは、自分の仕事に誇りをもってやっているんだよ。すがた形で人を見てはだめだ」と話したという。
その子供は、長い風呂での話に「ゆでだこになりそうでした」と書きながら、「私は、じっとかんがえてみた。お父さんの気持ちがわかるようになった・・・・・・やっぱり、私のお父さんは世界一りっぱなお父さんです」と言っている。
そして「一日汗びっしょりでかえって来たお父さんを見ると、おもわず、『お帰り、あつかったね』と言ってしまいます。
夕食のとき、お酒を『うまいなあ』と言って飲むお父さんの顔をみて、思わずわらってしまいます。・・・・・・わたしもお父さんに負けないように、がんばってみせます」と文章を締めくくっている。
「子供は親の後ろ姿を見て育つ」といわれるが、この父親は黙々と自らの人生を生きぬく姿で、幼い胸に、あまりにも多くのものを教え、与えているように思う。人生に誇りをもって、明るく挑戦している人は、その子供に、無言のうちに最大の「心の財」を残していくことができるのである。
私はさらに、この作品を書いたお母さんが、父親が暑い日差しのなかで、働く姿を見せていることに注目したい。これこそ賢明な母の知恵であると思う。
(1977・1月「婦人倶楽部」掲載)


日に日に驚くような速さで、成長していく子供たち。
その吸収力といったら凄まじいわ。
ぼ〜っとしてられないね。


後ろ姿を見て育つってことは、私たちは、前をむいてなきゃだね。


お父さん達へ、
いつもありがとう。