■
- 作者: ジャン=クロードカリエール,Jean‐Claude Carri`ere,南條郁子
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
高校時代から物理はさっぱりわからなかった。
公式を示されても「?」「?」
たぶん脳がアナログで古典的なんだと思う。
本当にわけがわからなくなる。そもそもなぜ記号を使った数式で表現されるのかが飲み込めない。物事の存在、動きなどをなぜ記号で表せるの??と幼児レベル。
数学も苦手だったし、まったく理数系に疎い。
それなのに、それだからか、惹かれるアンシュタイン。その人に。
この本は脚本家が小説仕立てに書いた「読む映画」。
彼が選ぶ言葉、感性、演出が私と相性がよいのかすいすい読めた。
ファンタジックで、わかりやすく相対性理論が語られていた。
ニュートンの「万有引力」の理論とのやりとりもおもしろい。
読んでみて感じたのは、
なんだか、この現実って夢のよう。
常識とか、秩序とか、世界を彩る色や模様に思えてくる。
それは流動的なイメージ。
やっぱりいつも食いついてしまうのは時間の概念。
昔、大失恋を経験したとき別れてからだいぶ時間を経たと思ったのに、(3ヵ月くらい・ワンシーズンですね)まだ1週間しか経ってないという現実に本当に驚いたことがある。私は7日間で3か月ほどの時間を体感していた。不思議な経験だった。
彼を愛しすぎて頭がとうとうやられたんだろう・・・とあの時は思ったけれどそれだけじゃなかったのね。
大人になって歳をとるのはあっという間に感じるという感覚もきっと関係あるね。
読んでいくうちに
視点が変わる。宇宙まで思いが馳せる。
「その言葉にはいつも注意してください。単純な質問はありません。単純に見えるときに限って恐ろしく複雑な問題だったりするのです」
「単純なものにはいつも用心しないと。とくに見かけが単純なものには。さっき言ったでしょう。ただ・・・」
「ただ何ですか」
「単純なものには心をそそるのですよ。私にも覚えがあります。わたしにとっては実はそれが一番大きな誘惑、一番の願望なのです。混沌として見えるものに単純な解読法を適用するのは・・・・・・」
想像力なしで行く道はむなしい。それではただのルーチンワーク、くりかえしにすぎない。無知からでて別の無知にたどり着くだけだ。知るとは創り出すということなのだ。さもないと古い轍の上で足踏みすることになる。にっちもさっちもいかなくなり、すでに名づけられたものに別の名を与え森の中を進んでいるように思いながらじつは木しか見ていないことになる。
遅かれ早かれ自分の考えの死、少なくとも部分的な死を受け入れなければならない。特殊相対性理論も一般相対性理論も、量子力学も、場の理論も、いずれは死んだ考えの大倉庫に放り込まれるのだ。といっても完全に死んでしまうわけではない。偉大な考えは決して死なないものだ。時代の想像力から生まれたものや、卓越した精神 ―いわば天才―が見抜いたものは、必ず何かが残っていく。