代表的日本人 (岩波文庫)

代表的日本人 (岩波文庫)

度々、スピーチに出てくるこの本。
下の子を妊娠中に読んでいたのだけれど、内容を少し忘れていたみたい。
先日のグラフSGIで紹介されていた上杉鷹山についても書かれていた。


彼の師、細井〔平州〕が繰り返し聞かせた話。

大藩紀州の藩主徳川頼宣は、言いつけを聞かなかったために、その膝をきつくつねられたことがある。そのときできた膝のあざをそうっと眺めるのが常であった。「これは尊氏が私に残した警告である。これを見るたびに、自分を省みて自己と民に誠実であるかと問う戒めとしている。
しかし、残ながら、あざは年を取るごとに色うすれ、それにしたがい私の慎みも薄れている」


孫娘に宛てた手紙


人は、三つの義を受けて育つ。親と師と君である。
それぞれの義はきわまりないが、とりわけ他にまさるは親のである。
この世に生をうけたのは親のによる。この身体が親の一部であることを決して忘れるてはならない。親につかえるときには、偽りのないでふるまうようにせよ。、もし、あやまちを犯しても、真さあるならば大きなあやまちではない。知恵不足のためにできないとはうな(その不足は真がおぎなう)
領内を治めることは、とても及ばぬように考えるかもしれない。しかし、領内を治めるもとは、よく整った家にあるとうがよい。よく整った家は、妻の夫に対する関係がきちんとしなくては成り立たない。水源が濁っている川からどうしてきれいな流れを期待できようか!・・・
若い女である以上、着物のことにがとらわれやすいのは当然である。しかし、教えられた倹約の習慣を忘れるではない。養蚕をはじめ女の仕事に励み、同じに和歌や歌書に接してを磨くがよい。文化や教養は、それだけを目的にしてはならない。すべての学問の目的は徳を修めることに通じている。そのため、善を勧め悪を避けるような学問を選ぶがよい。和歌はを慰めるものだ。それによりや花が人のの糧となり情操を高める。


春を得て花すり衣重ぬとも
    我がふる里の寒さ忘るな
(春が訪れ、花の衣装を身にまとう時節となっても、山里の父の家で過ごした冬をわすれるなよ)


上杉鷹山は、華やかな印象で語られることはないけれど、
すごい人だ。
かっこいい。