若き母に詩を贈る

幸あれ!強くあれ!   山本伸一

  

ある時は
春風に吹かれ
太陽や星々の下を
一日中
元気そうに
何かを明るく呟きながら
急ぎ走りゆく使命に生きる若き母!


あの燃え輝く美しき瞳は
生きることに
ただ生きることに
喜びを感じ
疲れも
いわれない軽蔑も
眼中に置かずに
活発に呼吸する
尊き命よ!


いかなる労苦があっても
永久に私は
尊い仕事を続けるのだ との
無私無欲の顔を
照らしゆく光は
あまりにも美しい。


貴女は
若い頃は体が弱く
また貴女は
つらい土砂降りの雨の中を
仕事に励み
また貴女は
痛みに震えながら
病魔と闘い
奥深い生命の力を
しぼり出して蘇生しゆく
賞賛される生きざまよ!


隣近所より
信仰しているということだけで
つまらぬ非難や中傷を
受けながらも
その苦痛を通して
常に新しい成長を
成し遂げていく
聡明な若き母よ!


貴女は
永遠の防衛に囲まれた
絶対不滅の
無名の女王なのだ。


誰人たりとも
苦しまない人はいない。
苦痛という空白を
持たない人もいない。
しかし
私達の苦痛は
新しい生き生きとした
確かな勝利への
原動力と変わる。


強い非難であれば
強い光が
私たちを包む。
正義には!
正義という信仰には
終末がない。
永遠なる勝利の報いが
待っているからだ。


あの人たちの心の奥の
ぞっとする寒気などは
私たちにはまったくない。
常に真昼の太陽に
包まれながら
希望の彼方に向かって
悠々と歩む。


身をかがめながら
嫉妬の息を吐くような
人たちには関係ない。


私たちには
厳しい朝が来ても
詩人たちの謳う詩以上に
永遠の宇宙のリズムである
生命賛嘆の曲がある。
幸福と歓喜と充実の絶対永遠の曲がある。


私たちに
いかなる苦難の痛みを
与えても
決してそのために
わが心が塞がることはない。


さらに深い意義のある
見えない幸福への変化を
もっているからだ。
この世の至高の苦悩を
すべて至高の幸福へ変えていく
法理を持っているからだ。


貴女よ!
貴女らしい美しい地図と
幸福の設計図を
愉快に作りたまえ!
蒙昧の人生を生きるな。
薄明かりの
侘しき鉄鎖に
つながれた人生を歩むな。


日々に
幸福の命運を
積み重ねながら
勇敢に生き抜くのだ。
来る日も来る日も
歓喜の曙である
一日一日を
刻みゆくのだ。


ある日は雨のなか
坂道を上りながら
信心しない友の
幻の姿を描きつつ
怯まぬ苦労を乗り越えて
私は
まぎれもなく
使命お道のために
何も振り返らずに
前へ進む。


誰人が何といようが
私は苦しくても
使命のために
新鮮な頬を
明るく燃やしながら
勇気を持ちながら
前途を眺めて進む。


あの生気もなく
味気のない
退屈な友との
付き合いとは
決別したのだ。


いま
その友らは
悩み疲れて
その視線は動かず
後悔の狂気じみた姿で
苦しんでいる。


人生は厳しい。
現実は厳しい。
そして
生命の因果の理法は
更に厳しい。


その法理を知った私は
幸福である。
私は大声で
友に言った。
喜んで
明るい正しい道を
進みなさい。
いつ あなたに
襲いかかるかもしれない
自分自身の人生の
未来を考えなさいと。


宿命と戦うことだ。
そして
幸福になることだ。
小さな心に
悪意を持ちながら
何の目的もなく
流離い歩む日々は
なんと空しいことか。


貴女は
悲嘆にくれた
時間を乗り越えて
何ものにも抑えられぬ
高貴な魂を輝かせていくのだ。
それが正義の信仰だ。


いずこへ行っても
何の目的に生きてるのか
奇妙な眼をしながら
ただ瞬間のみの快楽を
幸福と勘違いして
侘しき痛みを重ねゆく人生と
決別するのだ。


現実!
それは厳しい。
一生!
それは更に厳しい。
終わりまで
あらゆる過酷な宿命を
打開しゆくことだ。
確かなる自身の運命から
幽霊の如く
生の光を消しゆく
亡骸には絶対になるな!


友よ!
わが友よ!
止まることなく
闇の中を通り抜けて
独自の広々とした
生き甲斐に燃えゆく世界を
叩き開いていくのだ。


勝たねば幸福はない。
暗さを増す大気に覆われた
魔力の世間へ
決して引きずられるな!


自分自身で
汝の絶対の幸福の
扉を開くのだ!
急いで速度を速めて
沸き返る
わが精神の力で
開くのだ!


友よ
そこにこそ
唯一最高の真実の
愛と幸福の調べが
聞こえるからだ!


幼子を背負い
幼子と手をつなぎ
あの友の家に
そしてまた
あの知人の家にと
戦い進みゆく
雄雄しき姿は
菩薩である。


その人を
諸天は賞賛し
永遠に見守り続けて
ゆくことだろう。


妙法に生き
妙法を行じた人は
釈尊
大聖人が
三世十方の仏菩薩が
最高に賛嘆し
「身軽法重・死身弘法」の
尊貴な人なりと讃える。


最高の幸福の瞬間にも
極度の逆境の瞬間にも
人間の芸術家たれと生きる
我々には行き詰まりがない。


君よ
孤独が一番幸福と
思っているかもしれない。
しかし
それは人生の結論ではない。


詩人ゲーテ
「孤独はよいものです。
 自分自身と
 平和のうちに生き、
 何かなすべき
 しっかりしたことがあれば」
と叫んだ。


そして彼はまた
「世の中に出ながら、
 孤独で通そうというのは、
 常軌を逸した行為と
 思われる」
と結論している。


朝早く
夫の出勤のために
食事の用意を
そして駄々っ子の
子供の世話を
来る日も来る日も
生活の最も地味な戦いを
繰り返しゆく
若き賢明な母!


いかなる重大な
一家の受難があっても
微動だにもせず
偉大な犠牲の魂を
発光させながら
愛と真実のために戦い
乗り切っていく
勇敢にして正確なる
芸術家の貴女よ!


常に
悪い華を切り捨て
善の華を
咲かせゆこうとする
自由で純粋な
開放的な母よ!


いかなる残酷な
問題があっても
一家の巨大な救世主として
天才の如く戦い
乗り越えていく
あの微笑を
忘れることはできない。


最も嘘の嫌いな母。
労苦にも
最も悠然と
楽観的になれる母。
若き母に敵う
哲学者も
大学者もいない。


彼女たちの
人間として
最も身近にして切実な
頭の中の考えと
身の回りの真価を出しゆく
論理的な頭脳には
大博士も敵わない。


私の先輩は
よく言ってくださった。
「何があっても
 泣かないことだ。
 負けないことは
 勝利したことだ。
 本当に私は勝気だった」
どっしりと勝利しゆく
人生の秘訣を実感した。


また ある指導者が
「女性の幸福の勝敗は
 四十代から!
 青春期は
 自身を鍛え勉強し
 一生の幸福の土台を
 築いていく時と
 思わねばならない」と語った。
確かにそう思う。
それが道理である。
真実であると思う。


結婚したり
子どもを持ったり
夫がどうなるか
人の運命は
一寸先は闇だ。
その解決は
どのように
何に求めていくべきか。
あなたまかせの
封建的な時代は終わった。


最も価値のある
人生の正道を選び
踏みはずさぬ
堅実な一歩一歩であらねばならない。
一日一日で
あらねばならない。


我が家は小さな
誠に平凡な家であるが
私は
煌めき輝く
多くの宝石をちりばめた
人間の魂が光る
華麗なる宮殿と
思っている。


そこには絶えず
不安を生み出すような
絶望的な空気は
少しもない。
常に毎日
狭い部屋で休息を求めて
再び希望を見出して
天使のように羽ばたき
勝利の日々を
飾っているのだ。


小さな我が家は
その日その日を
完全なる更新の日々として
偉大なる詩人の如く
誠実な人間の歴史を
創り残していくのだ。


若き母は
つまらぬ陰口など
まったく気にしない
賢い女王だ!
尊い信仰への
低級な嫉妬の中傷など
全く意に介さない
強い王女だ!


生活費が乏しくとも
子供の成績が下がっても
そして
夫の信仰が薄らいでも
毅然として
愉快に指揮を執る
聡明なる
偉大な人間女王だ!


わが家の子は
あの裕福な家の子どもに
比べると
服装も質素。
食べ物も質素。
しかし何ひとつ
侘しき心を持たない
強き母。


夫の給料が安くとも
笑顔で受け取り
苦しい家計を上手に
やりくりしながらの
智慧は天才。
その心の充実は
大富豪の家族よりも
愉快で楽しそうだ。


若き母 万歳!
若き母がいなくなった世界は
暗闇だ。
そこには
太陽も
月光も
桜の花も
薔薇の花も
見えなくなっていくだろう。


「若き女性は
 いかなる境遇のひとであれ
 古今東西
 みな 美しいのだ!
 境遇がどうであれ
 貧富の差などがどうであれ
 みな 化粧も何もなくても
 本質的に美しいのだ。
 生命の本質において
 美しいものである」とは
ある哲学者の言葉であった。


若き母 万歳!
若き母の呼吸は人類への幸福への呼吸だ。


若き母に
幸あれ!
若き母に
健康と長寿あれ!


さらに
若き母に
最高の人生の誇りあれ!
そして
若き母に
颯爽と金色に
勝利と不滅の魂よ
光ゆけ!


2002年5月21日


6月10日「婦人部の日」へ
希望の対話を広げゆかれる
全世界の婦人部の皆様方の
いつまでも若々しいご活躍と
ご健康、ご一家のご多幸を
心より祈りつつ。合掌
   世界桂冠詩人