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- 作者: 田辺聖子
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2003/03
- メディア: 単行本
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でも私は怒ることもしない。
そうして思った、怒らないほうが人間にとってずっと容易しいんだって。
怒るというのはむつかしい。あとの手当てや始末にエネルギーが要るから。
それより(ま、いいか)と怒りをこらえているほうがずっとたやすかった。
『九時まで待って』
「思い込み」はクリエートする人間のいちばんの敵である。
私の一大欠点は「人を喜ばせるのが大好き」という点だったのだ。それでいて自分を喜ばせることをしなかったんだもの。
私は自己犠牲という意味ではなくヒロシを喜ばせることが私の喜びだったのだ。
それは愛に似ているけど、愛ではなかった。
なぜって自分のないところには、愛はないもの。
『恋にあっぷあっぷ』
お金よりも好きなものを持っている人って、現代では最高のロマンチストだもの。
『言い寄る』
ただしいことを信条にしたらあかん。どうせでけへん、そんな高尚なこと。たのしいことをしたらよろし。ただしい、と、たのしい、一字ちがいでえらいちがいや。
『おかあさん疲れたよ』
陰気というものは伝染るものである。なるったけ陽気な人のそばにいるほうがいい。陽気も伝染るのだ。そしてこれから先の世の中、陽気でないと、もうやっていけないのだ。
もっといいのは、陽気の発光体に自分がなること。
陽気にらないと、核廃絶も戦争反対も叫べない。陽気の発光体になって、自分のまわりに陽気な人を集めるようになれれば、どんなにいいだろう。
『死なないで』
血肉になってない知識は知らないのと一緒である。
『猫なで日記』